「携帯料金値下げ」で有識者会議 大手3事業者、消極的な姿勢
9月の経済財政諮問会議での安倍首相からの指示に基づいて総務省傘下に編成された、「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」の第2回会合が、10月26日、総務省で開催された。会合では携帯電話事業者3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)などのヒアリングが実施された。3社は、政府から指摘されている現状の課題は認めたものの、具体的な施策については「検討」「協議中」といった表現で明言を避けるなど、消極的な姿勢が目立った。次回会合では、各事業者が発言しやすいよう、非公開でのヒアリングを実施する予定。
今回の会合では、第1回の会合を経てタスクフォースで定めたヒアリング項目について、事業者などからヒアリングを行い、その後、委員との質疑応答の時間が設けられた。冒頭、高市早苗総務相から、「端末価格と通信料金が事実上一体化しているなどの消費者から見た分かりにくさ」、「長期利用ユーザーやライトユーザーの負担の下に多額の販売奨励金が支払われ、頻繁にMNP(ナンバーポータビリティ制度)を利用して端末の買い替えを繰り返すユーザーがその恩恵を受けている不公平な現況」、「MVNO(仮想移動体通信事業者)の普及」という第1回の会合で共有された3つの問題意識が提示された。
今回の会合では、これら3つの問題について、携帯電話事業者3社に対してヒアリングした。しかし、3社の各担当者がタスクフォース委員にした説明は、主に自社のサービスの説明のみで、提示された課題は認めたものの、これらに対する具体的な施策は「メニューの検討」「わかりにくさの改善」といった抽象的な表現に留めて明言を避けた。また、「MVNO事業者と協議中」「MVNOと連携」とだけ述べ、消極的な姿勢に終始した。
これに対し、委員の一人から、「MNPユーザーのうち、『どうせ携帯電話を買い替えるなら、キャリアも変えた方がキャッシュバックもらえるのだから、得だろう』という人が多いのではないか」「端末販売奨励金は、明らかに国際的にも異常なレベルで高い。これを各事業者は、事業者間で競争もある中で減らすことができるのか」といった突っ込んだ質問もされたが、各事業者とも「止めるのは難しいと思う」「ここはやってみないと分からない」「考えていかなければならないとは思っている」などと歯切れの悪いコメントを残すにとどまった。
第3回の日程は決まっておらず、各事業者から突っ込んだ発言を引き出すために非公開で行われることのみが会合の終わり際に発表された。