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江戸時代から栄えた宿場「海野宿」と天空の芸術祭 長野県

全国旅行支援が始まり、控えていた旅行に出かける人も増えている。紅葉が見ごろの地域も増え、出かけるにはちょうど良い気候だ。芸術の秋、歴史と芸術に触れる旅はいかがだろうか。

北国街道の宿場「海野宿」

長野県の東部に位置する東御とうみ市の海野宿うんのじゅく。ここは1625年に中山道なかせんどうと北陸道を結ぶ北国街道の宿駅として開設され、佐渡で採れた金の輸送や北陸の諸大名の参勤交代、善光寺への参詣客が通る道として栄えた。

明治時代に入ると宿場機能は失われ、養蚕の村へと変化を遂げた。そのため街道沿いには、江戸時代の旅籠屋作りやかやぶき屋根の建物と、明治以降の堅牢な蚕室造りの建物が調和を成して立ち並び、1986年には「日本の道百選」に、1987年には「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されている。

街道沿いには蕎麦屋や資料館、カフェ、古本屋などが点在しており、歩きながらふらっと立ち寄り、ゆったりとした時間を過ごすことができる。

海野宿の始まりの灯篭
海野宿資料館
長野県はクルミの生産量が全国1位。その中でも東御市は圧倒的なシェアを占め、海野宿ではクルミたれを使用したそばを食べられるお店もある。

天空の芸術祭2022

10月8日から11月6日まで、海野宿周辺において「天空の芸術祭2022」が開催されている。東京藝術大学と東御市の域学連携事業として2016年から開催されており、今年で6回目となる。

今年は16作品が海野宿の風景と溶け込んで、もともとそこにあったのではないかと思わせる自然さで展示されている。芸術祭の副題は「揺り動くアウトラインー身体は思考する」。作家たちは海野宿でのリサーチワークを通じて、自己の身体でその場所に潜在するものと対話し、創造的に思考を深め、多様な作品で表現している。

白鳥神社の鳥居の前の狛犬は赤沼潔氏による作品。もともとあったかのようにそこにある。
建物と塀の間に隠れるようにたたずむ日向慶次氏の「紡いできた生活を見ることで、、」
増月りく氏の「転ずる刻印」