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福岡の歴史的建造物 明治〜大正期の趣を今も伝える

北九州市や福岡市には新しい商業施設やオフィスビルが立ち並んでいるが、ふと気が付くと歴史的な建物が静かに町の中にたたずんでいる。明治から大正にかけて建設された建物は、使用用途は変わりつつも大切にされ、いまだ当時の趣を残している。

大正時代の駅舎、JR門司港駅

1914(大正3)年に門司もじ駅として開業し、1942年に門司港駅に改称された。1988年には鉄道駅舎として日本で初めて国の重要文化財に指定されている(現役で使用されている重要文化財の駅は、東京駅と門司港駅のみ)。2012年から2019年にかけて、創建時の姿に復元する保存修理工事が行われ、大正時代の姿に復元された。木造2階建で左右対称の作りが特徴的なネオルネサンス様式。

ライトアップされた門司港駅。
階段には赤いじゅうたんが敷かれ、映画のセットのよう。
2階の旧貴賓室。大正時代には天皇陛下や皇太子陛下も訪れ、休憩所として使われた。

明治の木造建築、旧福岡県公会堂貴賓館

1984年に国の重要文化財に指定された旧福岡県公会堂貴賓館。フレンチルネサンス様式の木造建築で、1910(明治43)年に第13回九州沖縄八県連合共進会の来賓接待所として建てられた。共進会とは、同業者の見識を開発し、物産を比較してその改良を図るのが目的で企画された博覧会。

多くの客を迎えるために周辺地域が整備され、近くの那珂川が埋め立てられ、橋が架けられた。また市内で初めて路面電車が開通し、天神地域一帯の交通網の整備や市街地化が進んだ結果、博多と福岡天神の一体化が促進された。共進会の会期中は、県内外から91万人以上が来場した。共進会終了後は、福岡県高等裁判所や農林事務所、教育委員会庁舎として転用されたあと、現在は館内にカフェが新設され、見学できるようになっている。

天神中央公園の一角にある旧福岡県公会堂貴賓館。
重厚な雰囲気の貴賓室。

市民が集う、福岡市赤煉瓦文化館

地下鉄天神駅から徒歩5分のところにある福岡市赤煉瓦文化館。1909(明治42)年に竣工し、日本生命保険株式会社九州支店として使われていた。1969年に国の重要文化財に指定され、市に譲渡された。1990年まで市歴史資料館として使われたのち、1994年からは有料の会議室等を備え市民に開かれた「赤煉瓦文化館」としてオープンし、市民が集う場所になっている。

19世紀末のイギリス様式で、赤煉瓦と白い花崗岩の外壁が特徴的。
会議でも使える重厚感のある部屋。
1階はエンジニアが集い、交流しながら新しいサービスなどを開発するハッカースペースがある。

古い建物の歴史をたどってみると日本の歴史の重要な節目に立ち会っていることもあり、建物を通して歴史を学ぶきっかけとなる。重要文化財に指定されると中に入れなくなることもしばしばあるが、今回紹介した建物は中も見学することができる。当時の面影を残す室内に入れば、時代の雰囲気や使用していた人たちの気持ちも想像できそうだ。近くに行った際はぜひ立ち寄ってみたい。

 

JR門司港駅
住所:北九州市門司区西海岸1-5-31
2階の見学時間:9時30分~20時

 

旧福岡県公会堂
住所:福岡市中央区西中洲6-29
開館時間:9~18時
休館日:月曜日、年末年始
入館料:大人200円、児童(15歳未満)100円

 

福岡市赤煉瓦文化館
住所:福岡市中央区天神1-15-30
営業時間:9~22時
定休日:毎月最終月曜日、年末年始