食物繊維の不足が睡眠中の歯ぎしりに影響 岡山大などが学生を対象に調査
岡山大学とノートルダム清心女子大学の研究グループが行った研究で、睡眠中に歯ぎしりをする大学生は、歯ぎしりをしない大学生と比べて食物繊維の摂取量が少ないことがわかった。今後、食物繊維の摂取により睡眠中の歯ぎしりが減るか検証の必要はあるが、新しい視点での睡眠の改善法となる可能性がある。スイスの学術誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・メディシン」に掲載された。
最近は乳酸菌の応用に代表されるように、質の高い睡眠をとることが大きなトピックになりつつある。睡眠中の歯ぎしりは、歯の欠けや歯周病の悪化、顎の関節の痛みなどの悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、現在の一般的な対処法はマウスピースによる歯の保護といった対症療法でしかなく、歯ぎしり自体を解消する治療法は見つかっていない。同グループは先行研究で、睡眠中の歯ぎしりは浅いノンレム睡眠時に起こりやすいことを明らかにしていた。つまり、睡眠中の歯ぎしりは睡眠の質が低いと起こりやすいということになる。そこで睡眠に影響を及ぼす栄養に着目した。
研究グループは、岡山大学とノートルダム清心女子大学の学生を対象に口腔内診査と自己記入式の質問票を用い、睡眠中の歯ぎしりの有無を調査した。歯ぎしりの有無は筋電計を用いて診断した。併せて、過去1か月の35種類の栄養摂取量も調査し、睡眠中に歯ぎしりする学生としない学生でどの栄養摂取量が影響しているかを調べた。その結果、食物繊維の摂取量が少ないほど睡眠中に歯ぎしりする傾向があった。そこで、食物繊維の摂取量の多い学生と少ない学生を抽出し、食物繊維の摂取量を比べたところ、睡眠中に歯ぎしりをする学生はしない学生よりも食物繊維の摂取量が有意に少ないことが明らかになった。
一方で、若年者の食物繊維の摂取不足・減少傾向が問題とされている。18歳~64歳の目標とされる食物繊維の摂取量は男性21g以上、女性18g以上だが、令和元年度の調査で20歳~29歳の食物繊維の摂取量は男性17.5g、女性14.6gと報告されている。
睡眠中の歯ぎしりと食物繊維の摂取量との関連が明らかになったことで、全身の健康という視点だけでなく、睡眠中の歯ぎしりの改善という側面からも食物繊維摂取の重要性がクローズアップされた形だ。
(写真はイメージ)