光るカタツムリをタイで発見、中部大

光るカタツムリ、80年ぶりにタイで発見 中部大

中部大学とチュラロンコン大学(タイ)の研究者らが、タイの各地で採取したカタツムリの中から、光るカタツムリを5種発見した。カタツムリは世界に約3万種が知られているが、これまで光るカタツムリは1943年に羽根田弥太博士がシンガポールで発見したヒカリマイマイ1種のみで、今回の発見は80年ぶり2例目となる。この成果は9月13日付で、科学誌Scientific Reports電子版に掲載された。

腹足の外縁と外套膜が発光するプファニア属のカタツムリ(明暗写真の合成)

今回発見された5種のうち、1種はヒカリマイマイと同じヒカリマイマイ属。形態学的な解析から、ヒカリマイマイとは異なる種であることがわかった。発光の仕方は、ヒカリマイマイと同様で、口の付近が緑色に点滅する。残る4種は、これまで光ることが知られていなかったプファニア属。これらの発光の仕方は、ヒカリマイマイとは異なり、体(カタツムリの場合、殻の中から入り口を覆っている「外套膜」と呼ばれる軟体動物の体を覆う膜と、「腹足」と呼ばれる移動するための足の部分)の一部が連続的に緑色に光る。また、休眠中の個体や卵も同じ緑色に光ることがわかった。これにより、世界で光るカタツムリは2属6種いることになる。

休眠中に発光するプファニア属のカタツムリ

カタツムリが光る理由は明らかになっていないが、光ることでホタルなど不味い味を持っていたり毒を持っていたりすることを捕食者にアピールする発光生物に擬態し、敵からの捕食を逃れている可能性がある。

発光生物は世界におよそ7千種いるとされているが、その多くは深海に存在している。深海の生物はまだ研究が進んでいないため、新しい発光生物が見つかることはよくある。しかし、今回のように、陸上で発光生物が新たに見つかることは非常に珍しい。このことは、生物多様性の高いタイの自然には、未発見の生物とその現象が多く残されていることが伺わせられる。中部大学はチュラロンコン大学と大学間協定を結んでおり、今後もさらにタイの生物調査を進めていく予定だという。

写真提供:中部大学(冒頭の写真はイメージ)