佐川急便、24年4月から宅配便料金値上げ 人手不足の改善図る
佐川急便は27日、2024年4月1日から宅配便の料金を平均でおよそ7%値上げすると発表した。値上げは2年連続で、物流業界の人手不足が深刻さを増す中、従業員の労働環境改善を図るなどのためとしている。
佐川急便では今年4月にも平均でおよそ8%の値上げをしており、初めての2年連続の値上げだ。背景には、燃料価格や施設・車両等の価格の高騰、労働コストの上昇などがある。値上げの対象となるのは、飛脚宅配便(飛脚クール便含む)、飛脚特定信書便、飛脚国際宅配便で、例えば、縦、横、高さの3辺の合計が60センチ以内の荷物を関東と関西の間で運ぶ場合の料金は、現在の970円から1040円に引き上げられる。
物流業界では、労働者の時間外労働の上限規制などを定める働き方改革関連法により、生活に大きく影響する問題が発生すると想定されており、「2024年問題」としてその対応に迫られている。働き方改革関連法は2019年に施行されているが、トラック、タクシー、バスなどの自動車運転業務においてはその適用が2024年まで猶予されていた。2024年4月からはトラックドライバーの時間外労働時間が960時間に制限されることにより、物流リソースの減少や、ドライバーの収入減による離職などの問題が想定されており、野村総研の試算によると2030年には全国の約35%の荷物が運べなくなるとも言われている。物流大手のヤマト運輸でも今年4月に宅急便などで約10%の値上げを行ったほか、10月1日より日本郵便と連携して、新たに3辺合計が60cm以内の小さな荷物をヤマト運輸で受け取り、日本郵便の配送網で配達する取り組みを一部地域で開始した。今後も物流業界ではこのような動きが続くと考えられる。
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