カーリング、逆側を磨くと曲がることを初めて測定 立教大

立教大学は9月25日、カーリング競技におけるスウィーピングは、曲げたい向きの「逆側を掃く(磨く)」ことが有効だということを測定によって初めて示したことを発表した。従来は複数の流儀があって選手に混乱を招いていたが、正しい認識が得られたことで競技発展の一助になることが期待できる。この研究結果は国際学術誌に掲載された。

カーリング競技において、回転を加えて投げだされた石の軌跡は自然に曲がっていくが、選手はその曲がり具合を修正しようとスウィーピングを試みる。ところがこの曲げスウィーピングの仕組みには明確な根拠がなく、曲げたい側を掃く、前方を斜めに掃く、曲げたい逆側を掃く、という全く異なる流儀が行われている。流儀によっては効果がない、あるいは逆効果である可能性があり、選手を混乱させていた。

研究グループは2022年、カーリング石が「反時計回りに回転させると、進行方向に向かって左側に曲がっていくのはなぜか」という問題を、精密な画像解析によって実験的に解決した。画像処理型変位計という技術を応用して、カーリング石の振る舞いを世界で初めてミクロン単位で計測し、石の底のザラザラした突起が氷に引っかかり、それを支点として振り子のように振られて旋廻することを明らかにした。

今回の研究では、石の発射速度を一定に保つように開発した発射装置を用いて可能な限り多数回の測定を行って、測定データを統計的に解析した。その結果、進行方向に対して左右の片側だけを掃いた場合、逆側への曲がりを生む傾向が期待できることを95%の信頼性で確認することができた。これは、掃いた側で支点が減ることで、掃いた側に振られる確率が減るために、反対側へ振られる頻度が相対的に高まるためだと解釈できる。

曲げスウィーピングで予想される効果

研究グループは、氷上のチェスと呼ばれるカーリングが、今後、科学とスポーツの融合を具現化した科学的・論理的な競技文化として、ますます発展するための一助になることを期待するとしている。

画像提供:立教大学(冒頭の写真はイメージ)