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【連載企画】地方・地域再生のクリエイティブな試み

NEWSALT連載
~(4)港まち活性へのこれまでとこれから~

今連載も最終回。「街づくりとは何か?」という問いに対して、一地方の現場の取り組みをご紹介してきた。

今回の一連の取材を通して感じた記者の所見ではあるが、第1回でご紹介したMAT, Nagoya(マットなごや)が取り組むアート・プログラムも、第2回、3回でご紹介したように、港まちづくり協議会スタッフの「まちづくり」という仕事も、敢えて言うならば「考えることを促す」ものだったように思う。街への課題が明確な場合もそうではない場合も、まずは街に住む人々はもちろん、関わる人、通りかかる人であっても、その地に関してまずは考えることなくして、再確認も発見も気づきもありえないからだ。

さて、今回の連載取材も終盤を向かえようとしたタイミングで、「ぶらり港まちBOOK」なる100ページ強の冊子が発行された。同協議会が港まち100周年を記念して、3年半に渡って制作してきた「ぶらり港まち新聞」10号分の集大成ともいえるものだ。新聞では、主人公である街の人を掘り起こし、街の知られざる魅力を紹介してきた。よって、この本は街に入り込んで発見したものをまとめた、これまでの「まちづくり」を収めたものともいえる。一方、これから本を手にとった人が、いかに街を楽しむのかを自ら見つけるためのツールにもなっている。

冊子に登場する小料理屋に、完成本とともに同協議会スタッフの方々と、ぶらり港まち新聞制作スタッフ陣と訪れた。知る人ぞ知る地元の「名店」。名物店主の山本さんとスタッフの家族のような自然なやり取りがそこにはあった。県や市という単位ではない、港区西築地小学校の区域である1学区というきわめて小さいともいえる単位での地域再生のこれまでの取り組みは、確実に実を結んでいる、そう感じた。そして、同協議会のこれからの取り組みは、街と出合う人を増やす方向にシフトしていくという。より内側からより外側への発信へ。これからの港まちにも期待したい。

参考記事
(3)街というチームを活かす仕事
(2)そこで暮らす人の想いが街をつくる アートできっかけづくり
(1)愛知県・名古屋市 港まちポットラックビルのアート・プログラム

[冒頭の写真]
街の人たちとも、まるで家族のように関係性を築いてきた。
小料理屋「いせや」の店主、山本佐都子さんは店で出す食材はすべて地元のものと、徹底的にこだわっている。「まちを守るため」と意思は堅い。1959年の伊勢湾台風の前年から営業。災害を乗り越えて今もなお、変わらず店を切り盛りしてきた。

【連載企画】地方・地域再生のクリエイティブな試み
112ページに渡る「まちづくり」の集大成「ぶらり港まちBOOK」。連載第1回でご紹介した、港まちポットラックビルを中心に無料配布されている。