超小型深宇宙探査機「PROCYON」、基本ミッションをほぼ達成
東京大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、超小型深宇宙探査機「PROCYON(プロキオン)」が、地上局との通信、軌道決定、軌道制御などを行う基本ミッションをほぼ達成したと6日発表した。さらに、青色LEDで有名になった窒化ガリウムを用いた高効率X帯パワーアンプによる通信に成功し、深宇宙での超長基線電波干渉法による航法の実証実験も実施してデータ解析中だという。ただし、3月中旬にイオンスラスタの定常運転が中断し、4月末まで復旧作業を進めている。
PROCYONは昨年12月3日に小惑星探査機「はやぶさ2」と共にH2Aロケット26号機で打ち上げられた。大きさは55×55×63cm、軌道上で太陽電池パネルを展開しても縦横それぞれ1.5mで、重さは推進剤を含め約65kgと超小型の探査機。これまで地球を周回する超小型の衛星はあったが、地球圏を離れて深宇宙に向かう超小型の探査機は世界初。
このクラスの重さの探査機であれば、イプシロンロケット単独での打ち上げなど、多様な打ち上げ機会が期待できる。また、中・大型の探査機による深宇宙探査ミッションに先行してリスクの高い技術の実証や、大型の探査機に搭載して小惑星などの目的地で切り離しての利用なども考えられる。
画像提供:東京大学 中須賀・船瀬研究室