文京区で出土の人骨、江戸時代シドッチ神父とほぼ特定
東京都文京区の都指定旧跡「切支丹(キリシタン)屋敷跡」から2014年に発掘された3体の人骨のうちの1体が、イタリア人宣教師ジョヴァンニ・バッティスタ・シドッチ神父である可能性が高いことが判明した。4日に同区が発表した。
国立科学博物館が3体の人骨を人類学的分析とミトコンドリアDNA鑑定したところ、1体は西洋系男性、1体はアジア系男性、1体は不明だった。このうち西洋系男性は、現在でいうトスカーナ地方のイタリア人のDNAグループに入っていた。文献資料によると切支丹屋敷に収容された20人のうち、イタリア人はキアラ(1685年没、享年84歳)と、シドッチ(1714年没、享年47歳)のみで、年齢的にシドッチとほぼ一致した。また墓跡の位置がシドッチの収容期間に合致する場所であり、土葬という埋葬法も文献資料と一致した。
シドッチは、江戸時代鎖国下の1708年に屋久島に上陸して捕えられ、江戸の切支丹屋敷に収容された。禁教令が徹底されていた中、久々に囚われた宣教師だったという。幕府高官の新井白石が、シドッチを審問して得た世界事情やキリスト教の大意を『西洋紀聞』などに著した。白石はシドッチの人格・学識に感銘を受けて助命を献策し、シドッチは処刑されずに軟禁されたものの、シドッチは下働きの夫婦である長助・はるに洗礼を授け、これが明るみに出て地下牢に移されてまもなく衰弱死したという。
今回見つかった残りの2体の人骨は長助とはるのものである可能性があるという。
(画像提供:文京区)