米、ベトナムに人権問題の改善を迫る オバマ氏の訪越に向けて
オバマ米大統領のベトナム訪問が5月末に迫るなか、米国国防省は4月25日、政府批判による拘束者が近年増えていることをベトナムの代表に追及し、人権保障の進展を促した。米ABCニュースが同日報じた。
両政府高官はワシントンで人権に関する年次対談を開いた。米国のトム・マリノフスキー民主主義・人権・労働担当国務次官補は、昨年はベトナム政府に対する非暴力の異議申し立てに対する逮捕や起訴は大きく減ったが、今年になって反政府活動家やブロガーの拘束が増えたことに言及し、「この長年の懸念事項が解決されることを望む」と述べた。
ベトナム側はこのコメントに対して即答はしていない。
オバマ大統領は日本で主要7カ国(G7)首脳会議がある5月末に、ベトナムも訪問する予定。ベトナム戦争後に訪越する米大統領は、2000年のB.クリントン氏、2006年のジョージW.ブッシュ氏に続く3人目となる。
米政府は東南アジア諸国との友好関係の強化を図り、ベトナム政府とも中国の台頭に共同で対抗しようとしている。それに伴い、米国とベトナムは近年関係を深めてきている。ベトナムは今年2月に署名された環太平洋パートナーシップ(TPP)にも参加している。
ベトナムは近年、国民の法的保護を改善する法を承認し、TPPが批准された際に有効となる労働合意に基づき、独立した労働組合を合法化させることに同意した。しかし、政府や共産党に対する異議申し立てを依然として認めていない。
米国国務省の報告によると、ベトナムでは2015年末時点で95人の政治犯を収容している。また、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、 Human Rights Watch)によると、3月の最終週1週間で7人のブロガーと人権活動家に懲役を宣告している。
マリノフスキー氏は、「今年ベトナムの国会で取り上げられる予定となっている、デモ、非政府集団、宗教に関する法が、人権尊重に大きな影響を与えるだろう」と述べた。
(写真はイメージ)