東南アジアの降水量が6割以下に減少 エルニーニョ現象の影響か
気象庁の異常気象情報センターは2日、昨年春から今春にかけての東南アジアの降水量が地域によって平年の6割を下回ったと発表。この原因がエルニーニョ現象に伴う大気の対流活動が弱まったためという見解を示した。今夏にかけて、東南アジアの赤道付近では降水量の減少が緩和していく一方、北部では平年よりも降水量が少なくなると見込んでいる。
降水量が大幅に減少した地域は、インドシナ半島と、フィリピン諸島等があるマレー諸島の領域。インドシナ半島ではタイを中心に、2015年4月〜2016年3月における降水量が平年の6〜7割、カリマンタン島東部やフィリピン南部では、本来は降水量が多い時期と言われる2015年12月〜2016年3月の降水量が平年の4割だった。これらの影響で、インドシナ半島のベトナム南部にあるメコンデルタでは河川の水位が下がって海水が遡流し塩害が発生、インドネシアでは森林火災が増加するなど、大きな被害が出ている。
気象庁はこの小雨の原因として、エルニーニョ現象に伴う大気の対流活動の弱まりが考えられると報告した。エルニーニョ現象とは、太平洋の赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沖にかけての広い領域で海面水温が平年より高くなり、その状態が半年から1年程度続く現象のこと。東から西へ向かって吹く貿易風が何らかの影響で弱まり、温まった海水が東側に留まることによって生じる。本来は、大気の流れが活発になることで積乱雲が頻繁に発生して降水量が多くなるが、2015年春からエルニーニョ現象が強くなり、太平洋中部~東部で大気の対流が活発になったことに伴って、東南アジアの赤道付近では対流が弱まり、降水量が少なくなったという。
参考記事
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(写真はイメージ)