世界初、南海トラフ地震での断層すべり量を定量的評価 大阪大
大阪大学の廣野哲郎准教授らの研究グループが、地震の発生が危惧されている南海トラフプレートの試料を分析して海溝付近の断層のすべり量を解析した結果、断層すべり量が東日本大震災の半分程度となる30~50m程度になる可能性があると発表した。南海トラフ地震のすべり量を定量的に評価したのは初めて。研究結果は、英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』オンライン版に20日掲載された。
地球深部探査船「ちきゅう」で、南海トラフからプレート境界断層試料を採取。断層の鉱物組成と摩擦係数などの各種物理特性を分析した結果、海溝付近のすべり量は、東日本大震災の約半分となる約30~50m程度になる可能性が明らかになった。同研究グループが今回採用した解析手法は、東日本大震災を引き起こした日本海溝のプレート境界断層の試料を分析・解析した結果、実際に観測された値とほぼ同じ約80mという巨大すべり量を算出できていたという。
今後、地球深部探査船でより深く掘削し、採取した断層試料を同手法で解析することで、南海トラフ地震時の深部固着域の断層すべり規模をより正確に評価できることが期待されるとしている。
研究グループは、大阪大学の廣野准教授、清水建設技術研究所の津田健一博士、海洋研究開発機構の谷川亘博士、カリフォルニア工科大学のJean-Paul Ampuero教授、建築研究所の芝崎文一郎博士、東京大学地震研究所の木下正高教授、京都大学防災研究所のJames J. Mori教授らで構成。日米主導の多国間国際協力プロジェクト「統合国際深海掘削計画(IODP)」の研究航海で採取した試料を用いた。
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