絶滅した水草「イノカシラフラスコモ」が60年ぶりに復活

東京都は23日、井の頭公園(武蔵野市・三鷹市)の井の頭池で、これまで絶滅していたと考えられていた水草のイノカシラフラスコモが池底などから発芽していることを確認したと発表した。

井の頭池の水はもともと武蔵野台地の湧水によって澄んでおり、イノカシラフラスコモを含む多数の水草が生育していたが、周辺の都市化とともに湧水量が減り、水質汚濁や外来種の移入によって在来の水草が消失していった。2014年から生態系の回復と水質改善のため、池の水を抜いて池底を天日にさらし、外来魚を捕獲することで池の維持を図る「かいぼり」を行ってきた。都とボランティア「井の頭かいぼり隊」の協働で実施してきた「かいぼり」によって池の透明度が向上し、池内でイノカシラフラスコモの生育が確認されたという。さらに、絶滅危惧種のツツイトモが群落を形成していることも確認されており、今後も多様な水草の再生が期待されている。

イノカシラフラスコモは車軸藻類という緑色緑藻の仲間で日本固有の種。1957年に井の頭池や神田川上流で発見された新種。発見地では絶滅し、千葉県市川市以外に生息地が見つかっていなかった。環境省が発行しているレッドデータブックには最も絶滅が危惧される「絶滅危惧I類」として記載されている。全長は20~30cmになり、茎の直径は0.5~0.7mmと細く、雄株と雌株に分かれていることなどが特徴。

絶滅した水草「イノカシラフラスコモ」が60年ぶりに復活
イノカシラフラスコモ

絶滅した水草「イノカシラフラスコモ」が60年ぶりに復活
ツツイトモ

画像提供:東京都西部公園緑地事務所

 
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