次世代H3ロケット ビジネスの新たな軌道をめざして

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、現行のH2Aロケットに代わる次世代のH3ロケットについて開発状況を発表した。

H3ロケットは昨年度、1年かけて基本設計され、今年度初頭から詳細設計に移った。今年度の後半には第1段に使う新型「LE-9」エンジンの燃焼試験を開始し、約3年かけて燃焼試験を実施する。2018年度頃から試験機を作り始め、2020年度に初の打ち上げを目指す計画だ。

試験機が打ち上がった約2年後をめどに、年間の打ち上げのうち3機程度を政府やJAXAの衛星、残りの3機程度を商業衛星という、定常運用に近い状態にしていく。1年の半分は種子島から海外の衛星を打ち上げる状況になるかもしれない。H3の打ち上げコストは従来の半分を目指しているので、打ち上げ回数を2倍にしないと、産業基盤が小さくなってしまうからだ。

プロジェクトマネージャの岡田匡史氏によると、H3でアピールしたいのは「特別な技術」ではなく、日本の強みであるモノ作りの技術や他の産業の優れた技術を生かして、本当に使いやすいロケットを作ること。それで世界に打って出たいと考えているという。これまでのロケット開発は「どのような技術を使うか」という面から考えていたが、H3では「どう使うか」という運用コンセプトから入り、それを実現するにはどんな技術が必要になるかを考えて取り組んでいる。自動車や家電の開発現場では当たり前のように行われていることをロケットでもやろうとしているというわけだ。

ロケット開発ビジネスにおいて、従来は試験機を打ち上げることが開発のゴールであったが、H3はビジネスの軌道に乗せてこそゴールだという。その意味で、H3プロジェクトは技術開発にとどまらず、事業開発だと言えよう。

画像提供:JAXA
(H3ロケットの想像図)

 
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