日本の国際成人力は世界一
海外のことを知ったら日本のことが見えてくる。そんなテーマのもとで海外にまつわる、いろいろなニュースをお届けするこのコラム。井の中の蛙に陥らないために記者の個人的に気になる情報をご紹介したい。
誰でも1番になるのはうれしい。比べることで自分が卑屈になるのはよくないけれど、よい競争(「善の競争」と呼ぼう)は必要だ。さて、今回のうれしいニュースは、経済協力開発機構(OECD)が各国の経済スキルの状況を把握するために行った調査結果から。16~65歳の成人の約15万7000人を対象として行なわれた国際成人力調査(PIAAC)は、今から2年前に初めて実施され、2013年10月8日にその結果が発表された。社会生活で成人に求められる能力の中で、読解力・数的思考力・ITを活用した問題解決能力の3分野のスキル度合いから「成人力」を調査している。参加国は、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国、オーストラリア、フィンランドなどの合計24カ国(参加国一覧は文末に記載)。うれしい、と先述したとおり、この3分野におけるスキルで堂々の第1位を日本が獲得、総合1位となった。ちなみに、総合2位はフィンランド、3位はオランダ。韓国は12位、アメリカ16位、フランスは21位という結果に。(図1参照)
そもそも日本の識字率は高く、能力の高さは国際的に周知されているが、改めて日本の教育水準の高さを示すものとなっているようだ。しかし、この結果から成人力が高いといっても何か違和感を覚えないだろうか…。「成人力とは?」と改めて考えさせられる。日本人はアピール力、表現力に乏しい面があるので、国際社会において控えめな印象は残念ながら免れない。一方、欧米諸国の人々は、自己アピールや自己主張にはかなり長けている。国の歴史や文化の土台から作られてきた国民性にもよるだろう。つまりは、日本は今後、個々人をどのような目的をもって作るかにかかっている。より一層世界は小さくなって、国際社会で活動する機会が増える中で、能力の高さにプラスして「個」が活かされる必要があるのではないか。その教育はいわゆる教師や教育関係者だけが考えることではなくて、大人と呼ばれる世代も自分をどう作るかが、後世の国民性にも、成人力にも大きく関わってきそうだ。
(参加国一覧)
アイルランド、アメリカ、イギリス、イタリア、エストニア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、韓国、キプロス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ロシア、日本
参考資料:文部科学省