植物の葉がギザギザになる仕組みを解明 名古屋大
名古屋大学の研究グループは、植物の葉がギザギザした形になるのに関わる物質EPFL2を発見し、その仕組みを明らかにした。実験的にEPFL2を分泌しないようにさせた植物では、ギザギザのないなめらかな形をした葉ができたという。多様な形がどのように作られるのか、今回の発見が解明の糸口となることが期待される。この研究は2日、米国生物学誌Current Biologyの電子版で公開された。
葉の形は、生まれたばかりの小さく丸い葉が部分的に成長したり、成長が抑えられたりしながら、葉の出っ張りやへこみを作ることで形成される。これまでの研究で、ギザギザの先端部分にはオーキシンという植物ホルモンが蓄積していること、周辺の裾野部分にはオーキシンが蓄積していないことが知られていた。葉の中でオーキシンの濃度の濃淡を作り出すことがギザギザの形成に必要であることは知られていたが、その仕組みは分かっていなかった。
今回、実験植物であるシロイヌナズナを使ってEPFL2とオーキシンの関係性を調べたところ、EPFL2はオーキシンの蓄積を抑える働きがあることが分かった。EPFL2が分泌される場所でオーキシンの蓄積が抑えられ、EPFL2の分泌されない場所でオーキシンが蓄積することで、葉の中でオーキシンの濃淡が作り出されることを突き止めた。
さらに研究を進めると、オーキシン自身がEPFL2の分泌される場所、つまりオーキシンの蓄積を抑える場所を決めていることが分かった。オーキシンが蓄積すると、そこではEPFL2が作られず、オーキシンが蓄積されるという仕組みになっていた。このように二つの物質が互いに影響し合う関係は、「フィードバック制御」と呼ばれ、生き物の形作りや体内時計などさまざまな場面で働く仕組みだ。
今回の発見によって、シロイヌナズナよりも複雑な葉の形や、触ると痛いトゲトゲの葉もEPFL2によって作られている可能性が示唆され、今後、他の植物でも研究を進めていくという。
画像提供:名古屋大学
(冒頭の写真はイメージ)