温州ミカンの“両親”が明らかに 農研機構がDNA親子鑑定
農研機構は7日、これまで日本原産と推定されながら由来がわかっていなかったウンシュウミカンの親品種をDNA鑑定し、キシュウミカンが母親、クネンボが父親であるという結果を発表した。ウンシュウミカンの優れた形質について遺伝子レベルでの解明が進み、品種改良の効率化への貢献が期待される。
ウンシュウミカンは明治時代に栽培が本格化し、いまや日本のカンキツ出荷量の約7割を占める。味がよく、果皮がむきやすく、種子も少なく、食べやすい。それだけではなく、機能性関与成分「β-クリプトキサンチン」を多く含むことでも知られている。また、日本の気候に適し、高収量で病害虫に強く、栽培のしやすさにも優れている。
農研機構では、β-クリプトキサンチン高含有に関わる遺伝子についての研究を進める過程で、これまで品種改良や品種識別用に開発してきた206種類のDNAマーカーを利用し、日本の主要な在来品種を含む67品種・系統の、カンキツとウンシュウミカンとの親子鑑定を行った。
その結果、日本の明治中期以前の主要カンキツであった「キシュウミカン」と、キシュウミカンとともに江戸時代までの主要カンキツであった「クネンボ」が、ウンシュウミカンの両親であると推定された。さらに別にDNAマーカーを用いてどちらが種子親(母親)か花粉親(父親)かを鑑定したところ、母親がキシュウミカン、父親がクネンボであると推定された。
β‐クリプトキサンチンを多く含むなど、ウンシュウミカンの優れた形質がキシュウミカンやクネンボに由来することがわかったので、これら3品種のゲノム情報を調べることで、ウンシュウミカンの優れた形質について遺伝子レベルでの解明が大きく進み、カンキツの品種改良の効率化への貢献が期待される。
画像提供:農研機構