クリスマスの香りを運ぶレープクーヘン:ニュルンベルク ~ドイツ街めぐり・食めぐり(8)
ドイツでクリスマスシーズンがスタートするのはいつからか? 筆者は9月からだと思っている。なぜなら夏休みが終わった途端、この国ではスーパーマーケットのお菓子コーナーにクリスマスのお菓子が並び始めるから。こうやって約4カ月かけて、人々はクリスマス気分を盛り上げていく。そんなクリスマスのお菓子の代表格とも言えるレープクーヘンの町、ニュルンベルクを訪れてみた。
ニュルンベルク中央駅前にある「職人広場」。城壁に囲まれたこの場所は、ここだけすっぽり、中世の雰囲気を再現したような空間になっている。狭い路地にお菓子の型を売る専門店やレープクーヘンの店、おもちゃ屋、ニュルンベルク風ソーセージが食べられるレストランなどがひしめき、ニュルンベルク名産品のちょっとしたテーマパークのようだ。
11世紀から交易路として栄えたこの町は、バイエルン州でミュンヘンに次いで第二の規模を誇る。そんなニュルンベルクの豊かさを今に伝えるもののひとつがレープクーヘンだ。
レープクーヘンは、シナモンやクローブなどのスパイスがぎっしり入った、ドイツでクリスマスシーズンに食べるお菓子。特にニュルンベルク名物とされる「エリーゼン・レープクーヘン」は小麦粉が10%以下で、主成分はナッツやオレンジピールでできている。かつて、スパイスやナッツが高級品だったことを思えば、エリーゼン・レープクーヘンは相当ぜいたくなお菓子だ。
デュルのレープクーヘンは3つ入りで6.35ユーロ(約839円)
レープクーヘン専門店はニュルンベルク市内にいくつかあるが、地元パン店「デュル」のレープクーヘンは、材料のスパイスやチョコレートにこだわり、今でもすべて手作業で作っているという逸品。同店ではレープクーヘンは年間を通して焼いているが、クリスマスシーズンが近づくと店頭に並ぶ、これ以外の多彩なクリスマス・クッキーもおいしい。
暑かった夏が終わり、秋風を感じ始める季節。この季節に出回り始めるレープクーヘンの独特のスパイスの香りは、ドイツ人いわく「クリスマスへの郷愁をかきたてられる」ものらしい。
伝統的なシュガーやチョコレートをコーティングしたもの以外に、ストロベリー味やオレンジ味のレープクーヘンも
*1ユーロ=132.12円で換算(9月29日現在)
【店舗情報】
Bäckerei und Lebküchenerei Düll
Bergstr. 23
90403 Nürnberg
www.lebkuche-nuernberg.com
営業時間 7:00-18:00(土曜7:00-14:00)*日曜休み
(in association with the GNTB/協賛:ドイツ観光局)