木陰のレストランで味わうミュンヘンの夏 ~ドイツ街めぐり・食めぐり(4)
衣食住の中でドイツ人が最もお金と精力をかけるものは「住」だと言われている。おいしいものを食べることより、着飾ることより、自分のいる住環境を快適に作ることが、彼らにとっての豊かさなのだ。それは、レストラン選びにおいてもしかり。以前、「おいしいお寿司屋さんを教えて」とドイツ人に言われて紹介したお店が、彼らの求めているちょっと高級感のある雰囲気に合わない場所だったことがある。後日、「おいしかった?」と聞いた私に、「雰囲気がちょっと…」と彼らは、味には一切触れず不満げだったのが印象的だった。そうか、ドイツ人にとってお店の雰囲気やインテリアは、食べ物の味を左右しかねない重要要素なのだと納得した。
さて、夏のレストラン選びにおいて重要要素となるのが、広々とした中庭空間のテラス席だというのは前回述べた。テラス席の有無は、夏のレストランの売り上げにダイレクトに影響するらしい。今回はミュンヘンの英国庭園の近くにある、夏場におすすめのビアガーデン付きドイツレストラン「ブルンヴァルト」を紹介したい。
市街中心部から地下鉄で10分ほど離れた、閑静な住宅街の中にあるこの店は、大きなマロニエの木が目印。ドイツ人の常連客が多いこの店では典型的なミュンヘン料理が楽しめる。ウィーンのシュニッツェルと言えば、有名な子牛のカツレツだが、ミュンヘンにもミュンヘン風シュニッツェルがあることをご存知だろうか? 子牛の代わりに豚肉を使ったカツレツで、衣の下の肉はマスタードとホースラディッシュでマリネされている。付け合わせは、日本ではジャーマンポテトの名で知られるブラートカルトッフェルンだ。山盛りのポテトの上に、シュニッツェルが2枚重ねで登場するさまは圧巻。どこか家庭料理的な素朴さを感じさせるメニューだ。ブラートカルトッフェルンは、たとえて言うならばチャーハンのような料理。家庭では、ふかしたジャガイモが余ったものを、後日タマネギやベーコンと炒めて食べる残り物料理なのだそう。
ミュンヘン風シュニッツェル(13.80ユーロ=約1766円)はやや黄色っぽい。その理由は…
前菜のサラダ。バゲットもついて、これ一品でも食べ応えがある(6.20ユーロ=約793円)
ドイツの夏の飲み物と言えばビールだが、実はアルコールフリーの飲み物も豊富。代表選手はリンゴジュースの炭酸割、アプフェルショルレ(Apfelschorle)だ。これに次いで人気が高いのはカシスジュースの炭酸割。このほか、ルバーブのジュースやマンゴージュースなどのバージョンもあり、バイエルンではこれがたいがい、ビールジョッキ並みの500mlグラスになみなみと注がれて出てくる。ドイツの夏の気候にぴったりで、やや大味で塩気の強いドイツ料理にも合う。
大きなマロニエの木の下で、ゆっくりと日が暮れて行く夏の夜を家族や友人たちとのんびり楽しむ。庭付きレストランだと、子どもの遊び場があるのはもはや定番、犬同伴でもOKだ。
ビールジョッキ並みのサイズで出てくるジュースの炭酸割(1杯4.10ユーロ=約524円)
*1ユーロ=128円で換算(6月2日現在)
Brunnwart
Biedersteinerstrasse 78
80805 München
Tel: +49-893614058
http://brunnwart.de/
営業時間
11:00-1:00(深夜)
*土日10:00-1:00(深夜)
(in association with the GNTB/協賛:ドイツ観光局)